つながるゼミナール④ 「トーテムとメタモルフォーゼ(サンゴ礁の夢の時間)」喜山荘一

第7回最終回のご案内


「ハジチ ー 霊魂のファッション」


【概要】

 「トーテムとメタモルフォーゼ」の最終回は、20世紀の終わり、ひょっとしたら21世紀のはじめまで続いたハジチ(Japonesian Ryukyu Tribal Tattoo)を取り扱う。ハジチは、人の行うメタモルフォーゼであり、トーテムの段階まで遡るものだ。

 これまで琉球弧のトーテムを辿ってきたので、ここでようやくハジチに触れることができる。今回は、ハジチの派生から紋様の意味まで、可能な限り解き明かしていくことになる。

 ハジチはこれから復活していくのかもしれない。もしそうなら、なおさらそこに込められたこころを手渡したいと思っている。

 そしてもうひとつ、伊波普猷はハジチについてこう書いたことがある。

 「開花せる現代の南島人のある者は、宗教的意義を有(も)つこの装飾のかつて存在したことを人に知られるさえ苦痛とし、引いてその過去のいっさいの文化を詛うまでに、民族的卑下心の持主になったことを附記しておく」(「南島の黥」1932)

 今回は、もともとのハジチのこころを再現して、手を隠すように生きざるを得なくなった最後のおばあたちをねぎらいたい。


【場所】タンディガタンディ(東京都大田区北千束1-52-6-2F./ 大岡山駅から徒歩2分)

【日時】第7回:11月30日(土)15:00~(今回はいつもよりはやい15時スタートです)

【参加費】1000円、懇親会:1000円 


【読解する紋様】

喜界島、奄美大島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島、沖縄島、久米島、宮古島、池間島、多良間島、石垣島、与那国島(八重山の島々)のハジチ

【取りあげる貝塚・遺跡】

奄美大島:手広遺跡、ケジⅠ遺跡、下山田Ⅱ遺跡、嘉徳遺跡、徳之島:面縄第2,4貝塚、犬田布貝塚、沖永良部島:神野貝塚、具志川島:岩立遺跡西区、屋我地島:大堂原貝塚、伊江島:ナガラ原第三貝塚、沖縄島:伊波貝塚、荻堂貝塚、平敷屋トウバル遺跡、古我地原貝塚、伊礼原E遺跡、崎桶川貝塚、嘉手納貝塚、大山貝塚、吹出原遺跡、室川貝塚、津堅島:キガ浜貝塚、久米島:北原貝塚、宮古島:長墓遺跡、アラフ遺跡


第6回のご報告

*** 以下履歴 ***

第6回のご案内

「ヘビとトカゲと生の反復」

【概要】

 最後のトーテム、ヤドカリのあとは、最初のふたつのトーテムに戻る。トーテム視点を持ったうえで、発掘された貝塚も少なく、分からないことの多いヘビとトカゲ・トーテムに臨もうというわけです。

 「死」が認識されず、「あの世」が発生していないとき、生命はどうとらえられていたのか。なぜ、ヘビ、次いでトカゲなのか。両者のちがいは何か。そういう問いをめぐります。

 話題は、旧石器時代の人骨や世界最古の釣針で話題になった石垣島の「白保竿根田原洞穴遺跡」や沖縄島の「サキタリ洞遺跡」に及びます。お楽しみください。


【取り上げる遺跡・貝塚】

奄美大島:高又遺跡、屋我地島:大堂原貝塚、沖縄島:野国貝塚、新城下原第二遺跡、サキタリ洞遺跡、宮古島:長墓遺跡、石垣島:白保竿根田原洞穴遺跡、波照間島:下田原貝塚、与那国島:トゥグル浜遺跡


【場所】タンディガタンディ(東京都大田区北千束1-52-6-2F./ 大岡山駅から徒歩2分)

【日時】 第6回:10月26日(土)16:00~

【参加費】 1000円、懇親会:1000円 


第5回のご報告

第5回のご案内

「ヤドカリ人の抵抗とアマミキヨの出現」

【概要】

 現在まで伝わった神話の多くは、ヤドカリ・トーテム段階のものだ。ひところしきりに議論された「兄妹始祖神話」がそれに当たる。この回では、「兄妹始祖神話」が何を語ろうとしているのか、彼らは何を乗り越えようとしたのか、貝塚から読み取ることから始める。そして、ヤドカリ・トーテムの推移とともに、起きた変化を辿り、あの名高いアマミキヨの出現の手前まで接近する。それはトーテムの時代の終わりを刻印している。


【兄妹始祖神話/ヤドカリ・トーテムの推移/アマミキヨ】

【取り上げる遺跡・貝塚】

奄美大島:手広遺跡、サウチ遺跡、ウフタⅢ遺跡、安良川遺跡、徳之島:面縄貝塚、犬田布貝塚、屋我地島:大堂原貝塚、瀬底島:アンチの上貝塚、沖縄島:新城下原第二遺跡、宮古島:長墓遺跡、竹富島:カイジ浜貝塚、波照間島:大泊浜貝塚


【場所】タンディガタンディ(東京都大田区北千束1-52-6-2F./ 大岡山駅から徒歩2分)

【日時】 第5回:9月21日(土)16:00~

【参加費】 1000円、懇親会:1000円 


第4回のご報告

第4回のご案内

「カニの切断と浜降りの発生」

【概要】

 トーテムはサンゴ礁の「子」へと転移する。何があったのか。カニが切断したのだ。

 今回は、カニをトーテムにすることで乗り越えた危機と、そのもとで生まれた習俗や儀礼を追います。

 【ヨナタマ伝承/集団の変容/浜下りの発生/「をなり」神/平瀬マンカイ・ショッチョガマの原像/輪踊りの発生/「貝交易」とは何か/「胞衣」の発生】


【取り上げる遺跡・貝塚】

奄美大島:手広遺跡、徳之島:トマチン遺跡、犬田布貝塚、沖永良部島:住吉貝塚、友留遺跡、古宇利島:古宇利原遺跡、宮城島:シヌグ堂遺跡、高嶺遺跡、沖縄島:嘉門貝塚、平安山原遺跡、伊江島:ナガラ原第三貝塚、渡嘉敷島:阿波連浦貝塚、座間味島:古座間味貝塚、久米島:大原貝塚、宮古島:長墓遺跡、石垣島:名蔵貝塚、船越貝塚、波照間島:大泊浜貝塚

【場所】タンディガタンディ(東京都大田区北千束1-52-6-2F./ 大岡山駅から徒歩2分)

【日時】 第4回:8月24日(土)16:00~

【参加費】 1000円、懇親会:1000円 


 第3回のご報告

 第3回のご案内。

「苧麻・琉球芭蕉・アダンからサンゴ礁へ」

【概要】

  「蝶」の話が続きます。「霊魂」に関わったのは、貝塚から分かっただけでも11の植物トーテムと9つの蝶がある。第3回は、はじめにその鮮やかな世界を追います。わたしたちはそこで蝶を見ると何かを感じずにはいられない、その心の淵源に触れることになるでしょう。そしてそのなかで、現在護岸工事に直面している奄美大島の嘉徳にも出くわすことになります。

 そして、時間のベクトルから「あの世」と「霊魂」を思考した植物人は、場の広がりを意識化し、サンゴ礁人へとメタモルフォーゼします。島人気質に最大の影響を与えたサンゴ礁トーテムです。時間があれば、ここで発生したと考えられるスク(スク豆腐で名高い?)の寄りについても触れます。


【取り上げる遺跡・貝塚】
喜界島:荒木貝塚、崩リ遺跡、奄美大島:手広遺跡14層、嘉徳遺跡、徳之島:面縄第4貝塚、屋我地島:大堂原貝塚Ⅳ層、沖縄島:平敷屋トウバル遺跡、伊波貝塚、荻堂貝塚、室川貝塚、崎桶川貝塚、古我地原貝塚、津堅島:キガ浜貝塚Ⅵ層、久米島:北原貝塚、宮古島:アラフ遺跡Ⅳc層、長墓遺跡3,4,5層


第2回のご報告

 第2回のご案内。

「蝶になる時とイザイホーの原像」

 【概要】

 「蝶」が死者や霊魂の化身であるという言い伝えは、その起源でどのように考えられていたのか。それは貝塚でどのように表現され、祭儀はどう展開されていったのか。

 植物トーテムの段階では、先史時代後半の二大発明である「あの世」と「霊魂」が生み出される。その足跡を、「蝶」にスポットを当てて辿り、久高島のイザイホーや安田のシヌグ祭の原像に迫る90分。

 トーテムの段階:[蛇、トカゲ、シャコガイ、植物、サンゴ礁、カニ、ヤドカリ]

 取り上げる貝塚:具志川島岩立遺跡西区、他

第1回目の報告。


 「科学」や「神」が誕生する以前、「神社」も「御嶽」もまだなく、もちろん「文字」も生まれてなかったころ、人はどのように生きていたのか?

 そこでは、特定の動植物や自然物(トーテム)が「生命の源泉」であり、人や自然はその化身(メタモルフォーゼ)態と捉えられていました。

 その「トーテムとメタモルフォーゼ」を軸にしたこころの軌跡を、琉球弧の神話や伝承、そして「貝塚」から浮かび上がらせます。

 舞台は南の島々ですが、縄文期を遡るのですから、そこには、日本列島だけではなく、アジアやオセアニアからも参照できる、ある段階の人類の姿がはあるはずです。言ってみれば、サンゴ礁を個性とした野生の思考の一類型です。

 人類学と考古学の橋渡す「こころの考古」の領域を見出しながら、先史人から学ぶべきものをいっしょに探っていきましょう。

 琉球弧のトーテムの系譜は、

 [蛇、トカゲ、シャコガイ、植物、サンゴ礁、カニ、ヤドカリ]

 ですが、講座はサンゴ礁環境が整いつつあった「シャコガイ段階」から始めます。


第1回 シャコガイから出現する貝人 5月25日(土)

・全体観、死の発見、境界点の発生、「火の神」の原型、貝は人

第2回 時空を紡ぐ植物人 6月22日(土)予定

・「あの世」の発生、「霊魂」の発生と蝶、蝶形骨器、原ユタの出現、貝塚の構造

第3回 巨大な貝から出現するサンゴ礁人 7月27日(土)予定

・地母神の原型、「寄り物」信仰

第4回 カニ人と「をなり神」信仰の発生 8月24日(土)予定

・姉妹兄弟婚の破綻、母系社会の出現、輪踊り、浜降り、「貝交易」

第5回 ヤドカリ人の抵抗と最後のトーテム 9月21日(土)予定

・母系社会の危機、アマミキヨの出現、こころの三類型

第6回 生を反復する蛇人とトカゲ人 10月26日(土)予定

・脱皮する蛇人、トカゲと不死の綻び、結節のトライアングル、南琉球と北琉球

第7回 メタモルフォーゼは終わらない 11月30日(土)予定

・メタモルフォーゼする人、ハジチ、三つ葉結び目


     ※トーテム 

         生き物や自然の源泉と考えられた特定の動植物や自然物。

     ※メタモルフォーゼ 

        通常は「変態」を指すが、ここでは「脱皮」の意味を含める。

        脱皮、変態。琉球語ではシジュン、スデル。 


喜山荘一(きやまそういち)

1963年、与論島生まれ。野生の琉球探究者、マーケター。

著書に『珊瑚礁の思考』、『奄美自立論』、他にビジネス書多数。トーテムとメタモルフォーゼをキーコンセプトに、先史時代の琉球弧の復元に取り組む。


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